「自宅を民泊として利用する場合の始め方が分からない」
「どこに届出を出したら良いのか分からない」
こんな悩みを抱えていませんか。
自宅を民泊として利用する際は、注意しておくべきことがありますので、民泊の登録手続きをスムーズに進めるためにもぜひチェックしてください。
また、静岡県・神奈川県で民泊を始めたい人に向けて、それぞれの届出先の一覧についてもご紹介します。届出を提出する際は、そちらの表も併せて参照していただけたらと思います。
自宅を民泊として利用するための始め方
民泊を開業するまでの流れとしては、国土交通省の「住宅宿泊事業を始める方へ」という資料にて、以下の流れが掲載されています。
- 事業計画
- 設備要件の確認
- 届出
- ウェブ掲載
では、一つずつ見ていきましょう!
事業計画
民泊で収益を上げていくために、必要なことが事業計画です。
事業計画は、新しい事業を始めるにあたって、サービスアイディアや方法・手段・手順・事業コンセプトなどを、分析やマーケティングを用いながら決定していきます。
ただ、ご自宅が空いているから民泊施設として提供するだけでは、ユーザーからメリットを感じてもらえず、多くのライバルに埋もれてしまいますので要注意です。
国土交通省観光庁が公開している資料の中では、民泊経営のコツとして、『宿のコンセプト、ターゲットを決める』ことを記載しています。
住居を民泊とする場合でも、コンセプトやターゲットをしっかりと決めることは売上につながる重要なポイントです。
何をすれば良いのか分からない場合は、まずはコンセプトとターゲットについて考えてみてください。
ターゲットを決める際は、以下の項目について考えるのが良いでしょう。
- 年齢
- 性別
- 国籍
- 趣味
- ライフスタイル
コンセプトとターゲットが決まったら、ペルソナを決めていきます。
ペルソナとは、「サービスを利用するユーザー像」のこと。
ペルソナを決める時は、ユーザーが抱えているであろう悩みや解決したいことなどを想像してみると良いと思います。
もし、どうしても分からなければ、自分ならどんな民泊に泊まりたいと思うかを考えてみるのも効果的です。
例えば、以下のようにペルソナを設定してみます。
「30代女性OL、普段の仕事の疲れを癒したくて、自然に囲まれて心を癒せる場所を探している」。
このような人をペルソナとする場合、観光地に近くて人通りが多い場所にある民泊よりも、山の中にひっそりと佇む自然に囲まれた民泊の方が選ばれる可能性が高まります。
また、施設内の備品としても、女性が喜ぶような設備や、ゆったりとリラックスできるような演出をすることが必要になります。
発信する情報としても、
- 立地やリラックスできる設備がある
- 女性が宿泊するのに必要なアメニティが揃っている
といったポイントを推し出していくと効果的です。
このように、ペルソナを決めることで、事業の方向性が決まり、取り組むべきことも明確になるので、余計な労力を使うことも避けられます。
設備要件の確認
次に、設備要件を確認する必要があります。
民泊として、届出を受理してもらうためには、最低限以下の4つの設備が整っていることが必要です。
・台所
・浴室
・トイレ
・洗面設備
浴室とトイレに関しては、ユニットバスでも問題ありません。
また、上記の設備においては、その機能を有していればOKなので、浴室に浴槽がなくシャワーのみの場合でも問題ありません。
トイレにおいても、和式・洋式どちらでも可能です。
また、必須設備ではありませんが、熱海や小田原の海沿い地域で民泊を運営する場合には、潮風や湿気対策として「除湿機」や「室内物干し」などを用意しておくことも良いでしょう。
潮風が原因で洗濯物が屋外で干せないケースがありますので、利用者の利便性アップにつながります。
届出
民泊を始めるためには、該当する地域を管轄する都道府県知事へ、届出を提出することが必要です。
宿泊施設の届出に係る法令には大きく分けて、以下の3種類があります。
- 住宅宿泊事業法(民泊新法)
- 旅館業法(簡易宿所)
- 国家戦略特区法(特区民泊*に係る部分)
※【特区民泊】 外国人旅客の滞在に適した施設を賃貸借契約及びこれに付随する契約に基づき一定期間以上使用させるとともに、当該施設の使用方法に関する外国語を用いた案内その他の外国人旅客の滞在に必要な役務を提供する事業として政令で定める要件に該当する事業 (参照元:民泊制度ポータルサイト) |
それぞれの法令によって、管轄する省庁や許認可の仕組み、営業日数の制限、などの違いがあります。
ご自宅を民泊にする方の中で、特に住居地域で運営する方は「住宅宿泊事業法(民泊新法」)」が当てはまります。
以下のページにて、それぞれの要件を確認できますので、ご自身が運営する民泊施設に当てはまる法令に合わせて届出を提出するようにしてください。
住宅宿泊事業(民泊)を始める方へ|国土交通省観光庁(2022年3月)
ウェブサイトへ掲載
民泊への集客手段として、ウェブサイトへ掲載することも大切です。
ウェブサイトへ掲載する手段としては、大きく分けて2つの方法があります。
- 民泊ポータルサイトへ登録する
- 自分でウェブサイト運営する
ウェブサイトの運営経験がない方は、「1.民泊ポータルサイト」を利用する方が良いでしょう。
ただし、民泊ポータルサイトには多くの民泊施設が登録されているため、他の施設との差別化を図ることが必要となります。
民泊ポータルサイトとして有名なのは、
などが挙げられます。
また、地域に特化した民泊ポータルサイトもありますので、そちらへの登録も検討してみてください。
例えば、熱海や伊豆・下田・河津などの地域で民泊を運営するなら「伊豆民泊」があります。
ご自身の民泊地域に特化した民泊ポータルサイトがあれば、そちらへ登録することで、より見込み度の高い利用者に見てもらうことが可能です。
静岡県・神奈川県で民泊を運営する場合の届出先一覧
ここでは、静岡と神奈川県における届出の提出先についてご紹介します。以下を参照してください。
静岡県
機関名 | 届出住宅の所在地 |
県庁衛生課 | 静岡市、浜松市 |
賀茂保健所衛生薬務課 | 下田市、東伊豆町、河津町、南伊豆町、松崎町、西伊豆町 |
熱海保健所衛生薬務課 | 熱海市、伊東市 |
東部保健所衛生薬務課 | 沼津市、三島市、裾野市、伊豆市、伊豆の国市、函南町、清水町、長泉町 |
御殿場保健所衛生薬務課 | 御殿場市、小山町 |
富士保健所衛生薬務課 | 富士宮市、富士市 |
中部保健所衛生薬務課 | 島田市、焼津市、藤枝市、牧之原市、吉田町、川根本町 |
西部保健所衛生薬務課 | 磐田市、掛川市、袋井市、湖西市、御前崎市、菊川市、森町 |
(参照元:住宅宿泊事業者の届出窓口について – 静岡県)
神奈川県
機関名 | 届出住宅の所在地 |
平塚保健福祉事務所環境衛生課 | 平塚市、大磯町、二宮町 |
平塚保健福祉事務所秦野センター環境衛生課 | 秦野市、伊勢原市 |
鎌倉保健福祉事務所環境衛生課 | 鎌倉市、逗子市、葉山町 |
鎌倉保健福祉事務所三崎センター生活衛生課 | 三浦市 |
小田原保健福祉事務所環境衛生課 | 小田原市、箱根町、真鶴町、湯河原町 |
小田原保健福祉事務所足柄上センター生活衛生課 | 南足柄市、中井町、大井町、松田町、山北町、開成町 |
厚木保健福祉事務所環境衛生課 | 厚木市、海老名市、座間市、愛川町、清川村 |
厚木保健福祉事務所大和センター環境衛生課 | 大和市、綾瀬市 |
健康福祉局健康安全部生活衛生課 | 横浜市内全域 |
経済労働局産業振興部観光プロモーション推進課 | 川崎市内全域 |
相模原市保健所 生活衛生課 | 相模原市内全域 |
横須賀市保健所 生活衛生課 環境衛生係 | 横須賀市内全域 |
藤沢市保健所 生活衛生課 | 藤沢市内全域 |
茅ヶ崎市 保健所衛生課 | 茅ヶ崎市内全域および寒川町 |
(参照元:神奈川県内の届出先等の窓口一覧)
自宅を民泊として使用する場合の注意点
ここでは、自宅を民泊として使用する場合の注意点についてお伝えします。ここでお伝えする内容は、以下の4つです。
- 利用する住居が、民泊運営可能な物件なのか要チェック
- トラブルの防止・抑制
- 消防法令の遵守
- トラブル発生時の近隣住民・宿泊者への説明義務
後々トラブルが発生することのないように、チェックしておいてください!
利用する住居が、民泊運営可能な物件なのか要チェック
一つ目は、自宅が民泊として利用できるかどうかについてチェックすることです。
利用される住居においては、規約や契約内容によって民泊として利用できない場合がありますので、予め確認しておきましょう。
例えば、賃貸契約を行っている住居の場合、「転載不可」となっていれば、民泊としての利用はできません。
また、もし利用可能だとしても、管理会社やオーナーへ、民泊として利用する旨を伝え許可をもらっておく必要があります。
トラブルの防止・抑制
民泊を運営する上では、トラブルに対する対処もとても大切です。
特に民泊におけるトラブルとして耳にするのが、
- チェックイン、チェックアウトの時間が守られない
- 民泊施設へ辿り着けない
- 清掃が行き届いておらず、クレームにつながる
- 騒音やゴミ問題で近隣住民とトラブルになる
- 室内の設備や備品が壊される
などです。
このようなトラブルを未然に防ぐためにも、宿泊者や近隣住民、民泊清掃代行業者などとのコミュニケーションを怠らないことが大切です。
また、施設内の設備や備品が破壊されることについては、利用者に委ねられてしまう部分がありますので、予め火災保険や賠償責任保険などに加入しておくことをおすすめします。
消防法令の遵守
また、消防法令についてもしっかりと確認し、民泊を運営するために必要な環境を整えておきましょう。
もし、適合していない状態で運営を始めてしまうと、後々業務停止命令が下されるリスクがありますので要注意です。
消防設備に関しては、届出前に管轄の消防署に相談するようにしましょう。
4.宿泊者への説明義務
民泊を利用する宿泊者に対して、近隣住民とのトラブルを防止するための説明を、必ず行いましょう。
トラブル防止措置として、住宅宿泊事業者には、宿泊者に対するトラブル防止に関する説明義務が課されています。
配慮すべき事項としては、以下のことが挙げられています。
- 騒音の防止
- ごみ処理
- 火災の防止
(参照元:民泊制度ポータルサイト)
住宅宿泊事業者は、上記の項目について書面やその他の適切な方法によって説明を行わなければなりません。
国土交通省観光庁が公表している資料の中でも明記されていますので、注意が必要です。(参照元:国土交通省観光庁)
事前準備をしっかりと行い、民泊運営を始めていきましょう!
この記事では、自宅を利用した民泊の始め方についてご紹介しました。事前準備や注意すべき点が多々ありますので、一つ一つチェックしながら開業のための準備を進めていきましょう。