外国人観光客の利用が多くを占める民泊。空き家を民泊として活用したいけど、外国人とのトラブルについて不安があり、なかなか一歩を踏み出すことができずにいませんか。
この記事では、民泊運営における外国人観光客とのトラブルの事例をお伝えするとともに、トラブルを未然に防ぐためにできることについてお伝えします。外国人観光客とのトラブルが不安で民泊運営に取りかかれずにいる人は、ぜひ参考にしていただき少しでも不安を払拭できるきっかけにしてください。
民泊運営を行う前にしっかりと把握しておきたいこと
民泊運営の利用者の多くは外国人観光客となります。また、民泊は、旅館やホテルとは違い、住宅の一部または一室を宿泊施設として貸し出す仕組みです。そのため、近隣住民にとっては生活の一部に外国人が入り込むという感覚になります。
近隣住民の理解を得ることも大切な民泊運営ですから、まずは以下のことについて把握しておきましょう。
- 宿泊者の半数以上が外国人
- 外国人観光客が宿泊する場合の近隣住民は不安を抱くケースが多い
- 外国人観光客の宿泊の場合は数日以上の宿泊日数となるケースが多い
では、一つずつ見ていきたいと思います。
1. 宿泊者の半数以上が外国人
官公庁のデータによると、民泊利用者の59.7%を外国人が占めています。民泊トラブルを未然に防いで、安心・安全な民泊運営を行うためには、外国人ゲストとのトラブルに対する対策を行っておくことは必要条件です。
外国人ゲストとのトラブルを防ぐためにできる対策については後ほどお伝えしますので、ぜひ参考にしてみてください。
2. 外国人が宿泊する際、近隣住民は不安を抱くケースが多い
個人の住宅やマンションの一部または一室を宿泊施設として貸し出す民泊。ホテルや旅館と違い、近隣住民との接点が近いことが特徴の一つです。
民泊運営を行う上では、近隣住民への配慮もより一層重要視していく必要があります。そのためも、まずは外国人が近隣で宿泊するとなった場合の近隣住民の気持ちについて知っておく必要があるでしょう。
では、どのような気持ちを抱くのでしょうか。実際にあった実例をもとにお伝えすると、次のような思いを抱く人たちがいるようです。
- 夜中に家の周りを外国人が歩いていて怖い
- ゴミ出しや騒音など生活マナーが悪くて気分が悪い
- 夜中にパーティーや宴会で騒がれて不快な気持ちになった
- 注意したいけど、言葉が通じないことを考えると注意できない
このような思いを抱いている人たちが見受けられます。
民泊を継続的に運営していくためには、近隣住民の理解を得ることも必要で、そのためには近隣住民への配慮が欠かせません。外国人観光客が快適に生活できる空間を提供することはもちろん、近隣住民の方にとっても不快な思いや恐怖を抱かないよう宿泊ルールをしっかりと決めておきましょう。
では、次の項では、よく起こる民泊トラブルの事例と解決策についてお伝えします。これから民泊運営を把握し、未然に防ぐための参考にしてみてください。
3. 外国人観光客が宿泊する場合は、1泊2日以上となるケースが多い
京都市の統計データによると、民泊における外国人の平均宿泊日数は3.77日となっています。地域によって平均宿泊日数は異なるかもしれませんが、外国人観光客の宿泊日数は長くなる傾向にあります。
そのため、近隣住民からすると生活の一部に外国人観光客が入りこむ形となることを理解しておきましょう。民泊事業を継続していくためには、近隣住民の理解を得ることが大切。外国人観光客には、騒音やゴミ出し、外出時間など、日本における生活マナーをしっかりと理解してもらうように取り組む必要があります。
よく起こる民泊トラブル事例
事例1. 夜中にキャリーケースを引く音がうるさい
夜中に外国人がキャリーケースをガラガラと引きながら歩く音がうるさいということで、近隣住民からクレームが入ったケースがあります。
需要が高まるにつれさまざまな場所で行われるようになった民泊。民泊は一般の住宅やマンションの一室などでも民泊施設として利用できるため、近隣住民との接点は自然と近くなります。そのため、チェックイン時間を近隣住民の迷惑とならない時間帯に設定するなどの配慮が必要です。
事例2. 民泊に置いてある備品を持ち帰ってしまった
生活するために必要なものとして置いてある備品。文化や習慣の違いからなのか、外国人観光客が備品を持ち帰ってしまうケースがあります。
日本人ならあり得ないだろうということでも、外国人にとってはあり得ないことではない場合があるのが事実です。細かいルールや禁止項目などは、細かく掲示して外国人ゲストが随時把握できるように工夫しておく必要があります。
事例3. 外国人が夜に外で騒いでいる
ついつい日本に来てハメを外してしまう外国人。お酒も入ってテンションが上がったためか、近くの公園で大声で会話をしたり、はしゃいだりしてしまい、近隣住民からクレームが入ったケースがあります。
近隣住民としては、外国人が騒いでいても、怖くて注意できないというのが本音です。そのため、あらかじめ外出可能時間や門限を決めたり、外出時のマナーなどを明確にルール化してゲストへ伝え、このような事態を未然に防ぐようにするのが大切です。
事例4. ゲスト(宿泊者)が民泊にたどり着けない
知らない地で道に迷ってしまい民泊までたどり着けない外国人観光客も少なくありません。ただ迷っているだけならまだ良いのですが、間違えて別の住宅へ入ってしまったということになれば別のトラブルへ発展してしまう恐れもあります。そのため、事前に地図や目印となるもの・ホストの連絡先を伝えておき、対処できるようにしておきましょう。
事例5. 設備や備品の汚損・破損
ついついお酒を飲みハメを外しすぎた外国人観光客が、民泊の設備や備品を壊してしまったり、修復が難しいほど汚してしまったりする場合もあります。中には、とても稀なケースではありますが、鍵がなくて部屋に入れなかったゲストが窓を割って入ったという事例もあったそうです。
設備や備品などの破損に対しては、Airbnbのホスト損害保証に入っておくことがおすすめです。Airbnbを利用してホスティングしている人限定ではありますが、ゲストがホストの宿泊施設や所有物を破損した場合に最大1億円まで保証してくれます。また、ゲストとの合意が得られなかった場合でもAirbnbが仲裁してくれるサポートもあるので安心です。
Airbnb利用者以外の場合でも、民泊保険を提供しているサービスがいくつかありますので、民泊保険サービスの利用も検討してみましょう。提供している会社については後ほどお伝えしますのでチェックしてみてください。
トラブルを未然に防いで安心・安全な民泊運営を行うための対策
トラブルが起こった時の対処法もとても大切ですが、トラブルは起こらないに越したことはありません。むしろ、トラブルが起こってから対処していたのでは対応が遅れてしまい、民泊運営に支障が出てしまう場合もあります。
ここでは、民泊運営をする上で、特に対外国人ゲスト向けに未然にトラブルを防ぐための対策をお伝えします。問題の多い外国人ゲストとのトラブルですが、未然に対策をしておけば少なからず防げることもあります。ここでご紹介する対策方法を参考にしていただき、安心・安全な民泊運営の実現を目指していきましょう。
対策1. ハウスルールを明確化し、ゲストが把握しやすいよう工夫する
民泊を運営するにあたっては、ハウスルールを作ることをおすすめします。ハウスルールとは、ホストがゲストに守ってもらいたい宿泊時の決まり事をまとめたものです。
このハウスルールをまとめた書類をハウスルールブックと呼びます。ハウスルールブックを作り、ゲストがその内容を把握できるように工夫することでトラブルを未然に防いでいきましょう。
ハウスルールに記載するのにおすすめの内容
では、ハウスルールにはどのような項目を含めればいいのでしょうか。ハウスルールは定める義務もありませんし、含める内容に決まりがある訳でもありません。そのため、含める項目について迷う人もいるでしょう。その場合は、以下の項目を参考にしてみてください。
- 設備(風呂・トイレ・家電・WiFiなど)の種類や設備ごとの使用方法
- 緊急時の連絡先
- 門限
- 土足厳禁
- ゴミ出しのルール
- トイレットペーパーはトイレに流すこと
- 部屋では騒音を出さないこと
- 友人の部屋への招待の可否
- パーティー開催の可否、可能とする場合は開催時のルール
- 使用しない家電の電源オフ/照明のオフ
- 喫煙または禁煙かどうか
など。
主に、海外と日本の文化の違いから起こり得る項目について記載することがおすすめです。例えば、トイレットペーパーは日本では使用後にトイレに流すことが当たり前ですが、中国や韓国など他国では、トイレットペーパーをトイレに流せず、ゴミ箱に捨てる習慣のある国もあります。
また、設備の使用は海外と日本では大きく異なります。使い方がわからないままに使用されると破損の原因となりますし、ゲストにとっては快適な生活が送れないことにもなりかねないため、ハウスルールに記載しておくことがおすすめです。
ハウスルールの製作には、製作代行サービスの利用もおすすめです!
日本の文化を堪能し、楽しんで帰ってもらうために、ハウスルールに盛り込む内容を精査しましょう。もし、どうしても作成に悩む場合は、ハウスマニュアルの製作を代行してくれるサービスもあるので利用を検討してみてはいかがでしょうか。
サービスにもよりますが、2万円〜4万円ほどで利用できます。特に英文での作成が難しい場合には利用すると便利ですよ。また費用を抑えたい場合は、ココナラのように個人が提供しているサービスを利用すれば比較的安く製作してもらえます。
対策2. 設備や備品の破損・汚損に対しては民泊保険の加入で対処しましょう!
設備や備品の破損・汚損は、使用方法や注意事項をハウスルールに記載することで未然に防ぐことにつながりますが、ホスト側の使用状況に依存する部分があるためどうしても避けられない項目でもあります。
そのため、もし破損や汚損が起こった場合に少しでも損失を抑えられるよう民泊保険へ加入がおすすめです。Airbnbを利用している人なら、Airbnbでホスト保証金の制度があるため利用しましょう。
Airbnb利用者以外は、民泊保険を提供している会社を以下に記載しますので、補償内容・金額などをチェックしてみましょう。
対策3. 民泊の鍵を手渡しにして、対面でコミュニケーションを取るようにする
民泊の鍵をポストに入れておくなどして、非対面で鍵の引き渡しを行う人も多いと思います。しかし、民泊でのトラブルを未然に防ぐためにも、鍵の引き渡しは手渡しで行うのがおすすめです。
理由としては、以下の2つです。
- ハウスルールについて口頭で説明できる機会を得られる
- ゲストと対面でコミュニケーションを取る機会を得られる
- 予約者と滞在者が同一人物か確認し犯罪リスクを抑えられる
鍵の引き渡しの際に、ハウスルールも一緒に提供すれば、ハウスルールについて口頭で説明する機会も得られます。また、事前にお互いの顔を知っておくことで、データ上でのやりとりではなく、人対人でのやり取りという実感が沸き、お互いに対する気遣いのきっかけにもなります。
また、犯罪というリスクにおいても、予約者と滞在者が同一人物かどうか確認できる機会を得られることが大きなメリットです。海外では、犯罪者の拠点として民泊が利用されたケースもあります。対面で鍵を渡す際に予約者と滞在者が同一人物か確認し信頼できる相手かチェックするようにしましょう。
対策4. ハウスルールを民泊内に掲示し、ゲストへのルールの遵守を促しましょう!
ハウスルールを、民泊内の壁に掲示したり、設備や備品の近くに使用方法を記載したプレートを置いておくなど、ルールや使用方法など細かいルールについてはその都度ゲストの目に入るように工夫しておくのがおすすめです。
ハウスルールブックを読んだだけでは、ゲストも内容を理解しきれません。そのため、ゲストに守ってもらいたいルールは、いつでも目に付くよう細かく掲示しておきましょう。
【まとめ】ハウスルールブックを製作し、ゲストが内容を把握できるよう工夫しましょう!
トラブルを未然に防ぐためには、ゲストにハウスルールについてしっかりと把握してもらうことが大切です。現在でも、ネット上では、外国人ゲストとの民泊トラブルが数多く報告されていますが、その全てが外国人ゲストに非があるとは言えません。
ホスト側でできることとして、ハウスルールブックの製作とハウスルールの周知を徹底し、トラブルを未然に防げるよう取り組んでいきましょう!