【民泊 vs 簡易宿所】民泊新法と旅館業法の違いは?箱根・熱海で稼ぐための最適解

箱根の緑豊かな別荘、熱海の海を一望するコンドミニアム。素晴らしい物件との出会いをきっかけに、「民泊」という新たな事業への挑戦を決意されたオーナー様。その情熱と行動力に、心から敬意を表します。しかし、その第一歩を踏み出す前に、あなたは事業の根幹を揺るがす、極めて重要な選択を迫られます。

それは、「どの法律に基づいて、あなたの事業を運営するのか」という選択です。

「法律なんて、手続きの話でしょう?」「とりあえず始められれば、どちらでも良いのでは?」もし、そう考えているとしたら、その認識は事業を開始する前に、必ず改めていただく必要があります。民泊事業の世界には、大きく分けて「住宅宿泊事業法(民泊新法)」と「旅館業法」という、似て非なる二つの道が存在します。そして、どちらの道を選ぶかによって、あなたの事業の収益性、運営スタイル、投資規模、そして将来的な成長可能性まで、その全てが根本から変わってくるのです。

この選択は、単なる手続き上の違いではありません。それは、あなたが民泊運営を「空き時間を活用した副業」と位置づけるのか、それとも「収益の柱となる本格的な事業」と位置づけるのか、という経営者としての意思決定そのものです。この記事では、これら二つの法律の具体的な違いを、特に競争の激しい箱根・熱海エリアで事業を行うという現実的な視点から、深く、そして分かりやすく解説していきます。この最初の分岐点を正しく理解することが、あなたの民泊事業を成功へと導くための、最も確実な羅針盤となるでしょう。

目次

民泊新法と旅館業法:似て非なる二つのルール

まず、それぞれの法律が持つ基本的な性格を理解しましょう。なぜ二つの法律が存在するのか、その背景を知ることで、それぞれのメリット・デメリットがより明確になります。

民泊新法(住宅宿泊事業):手軽さと制約のバランス

2018年に施行された住宅宿泊事業法、通称「民泊新法」は、増加するインバウンド観光客の受け皿として、また、国内の空き家問題の解決策として、既存の「住宅」を宿泊施設として活用しやすくするために作られた法律です。

その最大の思想は「手軽さ」にあります。従来、宿泊事業を行うには厳しい基準を持つ「旅館業法」の許可が必要でしたが、民泊新法は「届出」という比較的簡易な手続きで、一般の住宅を宿泊サービスに提供する道を拓きました。これにより、自宅の空き部屋を活用する「家主居住型」や、空き家を一棟丸ごと貸し出す「家主不在型」など、多様なスタイルでの参入が可能になったのです。この法律がなければ、今日の民泊市場の広がりはなかったと言っても過言ではありません。

しかし、この手軽さには大きな「代償」が伴います。それが、年間営業日数が180日以内に制限されるという、収益の上限を決定づける絶対的な制約です。

旅館業法(簡易宿所):本格運営と高いハードル

一方、旅館業法は、古くから存在する、宿泊施設の運営に関する基本的な法律です。ホテルや旅館も、この法律に基づいて運営されています。その中で、民泊事業者が目指すことになるのが「簡易宿所営業」の許可です。

旅館業法の最大のメリットは、営業日数に上限がないこと。許可を取得できれば、365日、一日も休むことなくゲストを受け入れることが可能です。これは、民泊事業を収益の柱とし、本格的な事業として展開したいオーナーにとっては、極めて大きな魅力です。

しかし、その道は決して平坦ではありません。「許可」を得るためには、フロント(玄関帳場)の設置義務や、消防法令への厳格な適合、そして後述する「用途地域」の厳しい制約など、民泊新法とは比較にならないほど高いハードルが待ち構えています。それは、ゲストの安全と衛生を高いレベルで担保するための、事業者としての重い責任を負うことを意味します。

事業性を左右する「5つの決定的違い」

それでは、これら二つの法律が、オーナー様の事業運営に具体的にどう影響するのか、5つの決定的な違いに焦点を当てて、詳しく比較していきましょう。

違い1:営業日数 – 「180日」の壁が収益モデルをどう変えるか

年間180日という上限は、民泊新法における最大の制約です。これは、一年間のうち半分は施設を遊ばせておかなければならないことを意味し、単純計算で収益機会も半分になるということです。

この制約の中で収益を最大化するためには、「いつ泊まってもらうか」という、極めて戦略的な稼働計画が求められます。特に、箱根・熱海エリアのように、週末、祝日、そして夏休みや年末年始といった特定の時期に需要が集中する観光地では、この180日をいかに単価の高い繁忙期に割り振れるかが、年間収益を大きく左右します。

逆に言えば、平日の集客が難しいこのエリアにおいて、「週末だけの運営」と割り切れば、180日という日数は意外と現実的な数字かもしれません。自身のライフスタイルに合わせて、副業的に運営したいと考えるオーナーにとっては、むしろ運営しやすいモデルとも言えます。しかし、安定した収益基盤を築き、事業としてスケールさせていきたいと考えるなら、この180日の壁は常につきまとう大きな足かせとなるでしょう。

違い2:用途地域 – 物件探しの難易度を決定づける「土地のルール」

用途地域は、その土地にどのような建物を建て、どのような事業ができるかを定めた都市計画の基本ルールです。このルールが、民泊事業の物件選びに決定的な影響を与えます。

民泊新法の場合、事業の対象が「住宅」であるため、原則として人が住むための家が建てられる地域(住居専用地域など)であれば、広く運営が可能です。これは、物件の選択肢が豊富であるという大きなメリットに繋がります。静かな別荘地にある一軒家や、眺望の良いマンションの一室など、魅力的な物件の多くは、こうした住居系の地域に存在します。

しかし、旅館業法(簡易宿所)の道を選ぶと、状況は一変します。旅館やホテルと同様の扱いになるため、原則として「第一種・第二種低層住居専用地域」や「第一種・第二種中高層住居専用地域」といった、静かな住環境を守るべきエリアでは営業ができません。営業が可能なのは、商業地域や準住居地域など、限られたエリアのみです。箱根・熱海エリアで、これらの条件を満たし、かつ民泊施設として魅力的な物件を見つけ出すことは、極めて困難と言わざるを得ません。この「物件探しの難易度」こそが、多くの事業者が旅館業法の取得を断念する最大の理由の一つです。

違い3:初期投資 – フロント設置義務がもたらすコストインパクト

事業を始める際の初期投資(イニシャルコスト)にも、大きな違いがあります。民泊新法は既存の住宅を活用することが前提のため、消防設備の設置や備品の購入といった費用はかかりますが、大規模な改修工事は不要なケースがほとんどです。

一方で、旅館業法(簡易宿所)を取得するには、法律で定められた設備基準を満たすための改修が必要になる場合があります。その象徴が「玄関帳場(フロント)」の設置義務です。対面での本人確認や宿泊者名簿の管理を行うためのスペースを確保しなければならず、既存の建物の間取りによっては、大規模なリノベーションが必要となり、数百万円単位の追加投資が発生する可能性があります。(※近年はICTを活用した無人フロント(タブレット端末など)も認められつつありますが、自治体によって判断が異なるため、事前の確認が不可欠です。)

違い4:管理体制 – 「駆けつけ義務」が問う運営の現実

ゲストの安全確保や近隣トラブルへの対応のため、どちらの法律でも管理体制の構築は義務付けられています。しかし、その厳格さには違いがあります。特に、熱海市の上乗せ条例が示すように、トラブル発生時に迅速に現場に駆けつけられる体制は、簡易宿所だけでなく、民泊新法においても強く求められるようになっています。

民泊新法で家主不在型の運営を行う場合、住宅宿泊管理業者への管理委託が義務付けられています。この管理業者が、緊急時の駆けつけ対応などを担います。簡易宿所の場合も、オーナー自身が常駐しないのであれば、同様の機能を持つ管理者を置かなければなりません。どちらの道を選ぶにせよ、遠隔オーナーが多いこのエリアでは、地域に根ざし、24時間体制で迅速に対応してくれる信頼できる管理・清掃パートナーの存在が、事業継続の生命線となります。

違い5:税制上の扱い – 見落としがちな税金の違い

運営に慣れてくると重要になるのが、税金の問題です。民泊新法での所得は、基本的には「雑所得」または「事業所得」として扱われます。一方で、旅館業法(簡易宿所)での運営は、その事業規模から「事業所得」として扱われるのが一般的です。

また、固定資産税についても注意が必要です。住宅用地として使われている土地には、税額が大幅に軽減される特例が適用されていますが、旅館業法で運営する場合、その建物は「住宅」ではなく「事業用の建物」と見なされ、この特例が適用されず、固定資産税が大幅に増額する可能性があります。長期的な収支計画を立てる上で、こうした税制上の違いも必ず考慮に入れるべきです。

【戦略的判断】あなたのビジネスモデルに最適なのはどちらか?

これらの違いを踏まえ、あなたはどちらの道を選ぶべきでしょうか。それは、あなたの事業目標、投資体力、そしてライフスタイルによって決まります。

「民泊新法」が向いているケース:リスクを抑え、ライフスタイルを重視する

もしあなたが、「自宅の空き部屋を有効活用したい」「まずは副業としてスモールスタートしたい」「大きな初期投資は避けたい」と考えているなら、民泊新法が最適です。180日の営業日数を、週末や繁忙期に集中させることで、本業やプライベートとのバランスを取りながら、着実に収益を上げることが可能です。箱根・熱海エリアの多くの魅力的な物件は住居専用地域にあるため、物件の選択肢の広さも大きなメリットです。

「旅館業法(簡易宿所)」が向いているケース:ハイリスク・ハイリターンを狙う専業投資家

一方で、あなたが「民泊事業を本業とし、収益の最大化を狙いたい」「初期投資をかけてでも、365日稼働の収益物件を作りたい」「法人として本格的に参入したい」と考えているなら、旅館業法(簡易宿所)が目標達成のための道となります。ただし、それは用途地域の制約という高いハードルを越え、大規模な初期投資を行う覚悟がある場合に限られます。物件探しから許可取得まで、年単位の時間と多大な労力がかかることを覚悟しなければなりません。

まとめ

「民泊新法」と「旅館業法」。二つの道のどちらを選ぶかという決断は、あなたの民泊事業の憲法を定めるような、根源的で重要な経営判断です。手軽に始められるが収益に上限がある道か、困難だが大きなリターンが狙える道か。そこには絶対的な正解はなく、あなたが描く事業の未来像によって、その答えは変わります。

しかし、一つだけ、どちらの道を選んでも絶対に変わらない共通の真実があります。それは、事業の成功は、ゲストに最高の滞在体験を提供し、高い評価を得続けることによってのみ達成される、ということです。そして、その体験の最も根幹をなすのが、施設の「清潔さ」と「安心感」です。

年間180日の運営であれ、365日の運営であれ、ゲストがチェックインする一回一回が真剣勝負です。その一回の滞在を完璧なものにするための、高品質な清掃・管理体制の構築は、法律の種類を問わず、全ての成功するオーナーに共通する絶対条件です。私たちインビックスは、箱根・熱海エリアの特性を熟知したプロフェッショナルとして、あなたがどちらの道を選んだとしても、その事業の基盤となる「品質」と「安心」を提供します。あなたの重要な決断の先にある、輝かしい事業の成功を、私たちにサポートさせてください。

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