「用途地域って何?」
「民泊運営可能な地域なのか知りたい」
このような疑問を抱えていませんか。
用途地域は、民泊を始めるにあたって注意しておくべき項目です。
中には、民泊を運営できない地域もあるため、予め予定されている地域が運営可能なのかをチェックしておく必要があります。
そこで今回は、用途地域の概要や用途エリアの確認方法をご紹介!
また併せて、神奈川県・静岡県における民泊運営を制限する条例についてもご紹介します。
これから民泊を始めたいという方は、ぜひチェックしてください。
用途地域とは?
用途地域は、国の都市計画法で定められた地域ごとのルールです。
用途地域として指定されている地域では、建物の種類や高さ・用途など国によって指定されているルールに従う必要があります。
例えば、『工業専用地域』に分類される地域では、一般的な住宅やホテル・旅館・病院などは建設できません。
このように、ホテル・旅館・病院に限らず民泊においても運営できる地域が制限されますので、ご自身が民泊を実施する地域についても確認しておきましょう。
用途地域を種類別に解説!
では、用途地域にはどのような種類があるのでしょうか。
用途地域の分類は、以下の表の通りです。
用途地域の種類 | 内容 |
第一種低層住居専用地域 | ●低層住宅のための地域 ●小規模なお店や事務所を兼ねた住宅や、小中学校などが建てられる |
第二種低層住居専用地域 | ●主に低層住宅のための地域 ●小中学校などのほか、150㎡までの一定のお店などが建てられる |
第一種中高層住居専用地域 | ●中高層住宅のための地域 ●病院、大学、500㎡までの一定のお店などが建てられる |
第二種中高層住居専用地域 | ●主に中高層住宅のための地域 ●病院、大学などのほか、1,500㎡までの一定のお店や事務所など必要な利便施設が建てられる |
第一種住居地域 | ●住居の環境を守るための地域 ●3,000㎡までの店舗、事務所、ホテルなどは建てられる |
第二種住居地域 | ●主に住居の環境を守るための地域 ●店舗、事務所、ホテル、カラオケボックスなどは建てられる |
準住居地域 | ●道路の沿道において、自動車関連施設などの立地と、これと調和した住居の環境を保護するための地域 |
田園地域 | ●農業と調和した低層住宅の環境を守るための地域 ●住宅に加え、農産物の直売所などが建てられる |
近隣商業地域 | ●周りの住民が日用品の買い物などをするための地域 ●住宅や店舗のほかに小規模の工場も建てられる |
商業地域 | ●銀行、映画館、飲食店、百貨店などが集まる地域 ●住宅や小規模の工場も建てられる |
準工業地域 | ●主に軽工業の工場やサービス施設が立地する地域 ●危険性、環境悪化が大きい工場のほかは、ほとんど建てられる |
工業地域 | ●どんな工場でも建てられる地域 ●住宅やお店は建てられるが、学校、病院、ホテルなどは建てられない |
工業専用地域 | ●工場のための地域 ●どんな工場でも建てられるが、住宅、お店、学校、病院、ホテルなどは建てられない |
(参照元:建築物の用途の制限)
それぞれの地域によって目的が決められており、その目的に即した建物が建築可能となります。
住宅宿泊事業(民泊)可能な用途地域とは?
では、どの用途地域が住宅宿泊事業(民泊)としての建物を建てられるのでしょうか。
判断するポイントとしては、民泊とする建物の建築用途は『住宅』扱いになることです。
住宅を建てられる用途地域は、先の項で記載した「建築物の用途の制限」の表のうち以下の地域が対象となります。
- 第一種低層住居専用地域
- 第二種低層住居専用地域
- 第一種中高層住居専用地域医
- 第二種中高層住居専用地域
- 第一種住居地域
- 第二種住居地域
- 準住居地域
- 田園住居地域
- 近隣商業地域
- 商業地域
- 準工業地域
- 工業地域
- 用途地域の指定のない区域
つまり、工業専用地域以外はすべて、『住宅』を目的とする建物の建築が可能だということです。
ただし、一つ注意点があります。
ここでの建築可能という意味は、民泊としての『住宅』を建てられるという意味にすぎません。
実際に運営できるかどうかについては、また別の話になります。
どういうことかというと、例えば…
「第一種(または第二種)住居専用地域」では、県の条例によって民泊の実施制限がかかっているケースが多くあります。
そのため、地域によって実施不可、もしくは運営できる期間が制限される可能性があります。
また、用途地域上や条例において民泊運営が可能であっても、近隣住民や建物の管理会社との契約などによって運営できないケースもありますので注意が必要です。
まとめますと…
上記のように工業専用地域以外なら民泊としての建物を建てることは可能ですが、実際に運営できるかどうかについては、
- 地域の条例
- 近隣住民
- 建物の契約内容
などによって変わってくるということになります。
用途地域の調べ方
では、ここでは用途地域の調べ方について解説します。
民泊を始めてからトラブルが起こらないよう、予めご自身の民泊予定地がどの用途地域に分類されるのかをチェックしておきましょう!
1. 役所へ確認する
一つ目は、県の役所に直接確認する方法です。
この方法が一番確実ですし、用途地域の確認だけでなく民泊運営の可否についても確認できます。
Googleで「〇〇(地域名)+ 用途地域」と検索すれば、お問合せ先が記載されたページが上位表示されていますので、そちらから管轄部署へ問い合わせてください。
2.用途地域マップで確認する
二つ目の方法は、用途地域マップを活用することです。
この方法では、用途地域の分類は確認できますが、民泊運営の可否については判断し切れません。
ただ、今すぐに手軽に確認できますので、まずは用途地域の確認をしたいという場合におすすめです。
用途地域マップは、以下のページから確認できます。
使い方としてはとても簡単で、ご自身の民泊地域を選択するだけです。
用途地域が分類ごとに色分けして表示されますので、早見表と見比べて判断してください。
改めての解説となりますが、住宅宿泊事業法(民泊)を実施する建物は『住宅』扱いとなります。
そして、住宅が建築できる用途地域は、以下の13種類です。
- 第一種低層住居専用地域
- 第二種低層住居専用地域
- 第一種中高層住居専用地域医
- 第二種中高層住居専用地域
- 第一種住居地域
- 第二種住居地域
- 準住居地域
- 田園住居地域
- 近隣商業地域
- 商業地域
- 準工業地域
- 工業地域
- 用途地域の指定のない区域
上記に該当するエリアであれば、建築用途としては民泊運営が可能です。
県や地域の条例による運営制限にも要注意
では、ここでは神奈川県と静岡県それぞれの地域における、民泊運営の制限についてお伝えします。
運営地域と時期において一部制限がありますので確認しておきましょう。
神奈川県
まずは、神奈川県からお伝えします。
対象区域 | 住宅宿泊事業を実施してはならない期間 | 趣旨 |
第一種低層住居専用地域のうち、第一種観光地区に指定されている地域 | ・3月1日正午〜6月1日正午・8月1日正午〜9月1日正午・10月1日正午〜12月1日正午 | 騒音等の発生による生活環境悪化を防止するため |
(参照元:民泊の実施制限に関する地方公共団体の条例のとりまとめについて)
箱根の第一種観光地区に指定されている地域は、別荘地でもあります。
そのため別荘地の繁忙期である上記の期間においては、別荘の所有者が良好な生活環境を確保できるよう、民泊の運営が制限されています。
【参照資料】民泊の手引き|箱根町静岡県 平成30年6月
静岡県
次は、静岡県についてです。
対象区域 | 住宅宿泊事業を実施してはならない期間 | 趣旨 |
学校等 (大学を除く)の周辺 100mの区域内 | 平日(月〜金)※国民の祝日及び学校の休業日を除く | 県民の生活環境の悪化を招くことがないようにするため |
住居専用地域 | 平日(月〜金)※国民の祝日を除く | 県民の生活環境の悪化を招くことがないようにするため |
ホテル又は旅館の建築を制限している地区等の区域で、知事が別に定める区域 | 平日(月〜金)※国民の祝日を除く | 県民の生活環境の悪化を招くことがないようにするため |
静穏な環境を求める住民が多く滞在する別荘地、狭隘な山間部等にあり、道路事情の良好でない集落その他の生活環境の悪化を防止することが特に必要な区域 | 生活環境の悪化を防止するために特に必要な期間 | 県民の生活環境の悪化を招くことがないようにするため |
(参照元①:民泊の実施制限に関する地方公共団体の条例のとりまとめについて)
(参照元②:住宅宿泊事業開業の手引き|静岡県 平成30年3月)
県民の生活環境の悪化が懸念される地域や期間においては、民泊の運営が制限されますので予め運営可能場所と期間を把握しておきましょう。
自宅を活用した民泊の始め方!
ここまで、民泊を始めるにあたって知っておくべき、用途地域について解説しました。
では、実際に民泊を始めるためにはどのような手順を踏めば良いのでしょうか。
民泊を始める大まかな手順としては、以下の流れで行います。
- 事業計画を立てる
- 設備条件を確認し、整える
- 届出を提出する
- 民泊サイトへ登録し集客する
詳細については、以下の記事に記載していますので、そちらでご確認ください。
【静岡県・神奈川県】自宅を利用した民泊の始め方!注意点についても解説
【まとめ】民泊可能な用途地域に指定されているのか確認しましょう!
この記事では、民泊運営を始めるにあたって知っておくべき「用途地域」について解説しました。
まずは、ご自身が運営を予定されている民泊地域が、どの用途地域に分類されるのかを確認しましょう。
この記事が、これから民泊を運営される方にとって少しでも参考になれば幸いです。