城下町の風情を残す街並み、築80年を超える古民家をリノベーションした一棟貸しの宿。小田原の民泊清掃を手がけていると、この街の物件が持つ独特の魅力と、その裏にある清掃の難しさを日々実感します。
小田原は箱根観光の玄関口として、近年インバウンドを含む観光客が急増しています。古民家をリノベーションした民泊物件は「日本の暮らし」を体験できる宿泊施設として人気が高く、高単価での運営が期待できるエリアです。
しかし同時に、古民家ならではの清掃課題がオーナー様を悩ませています。築古物件の木部や畳のケア、海沿いの湿気対策、リノベーション素材と古い素材が混在する清掃の複雑さ。一般的なマンション型民泊とはまったく異なるノウハウが求められるのです。
古民家民泊の清掃には、マンション型にはない特有の課題があります。
- 畳・い草の劣化カビが生えやすく、い草の変色が進行してしまう
- 木部の汚損柱や梁にシミや汚れがつき、一般的な方法では落とせない
- 海山の二重湿気海からの潮風と山からの湿気で押入れや床下がジメジメする
- インバウンド対応文化の違いから畳や無垢床に傷がつくケースが多発
- 専門業者の不足古い建具や障子の扱いに慣れた清掃業者が見つからない
この記事では、小田原エリアで年間6,500件以上の民泊・別荘清掃を手がけるインビックスが、現場で蓄積してきたノウハウをもとに、小田原の古民家・城下町物件特有の清掃課題と、プロが実践する5つの具体的な対策を解説します。
小田原の古民家民泊で清掃が難しくなる3つの理由
古民家民泊の清掃は、一般的なマンション型民泊の何倍も気を遣います。その理由を3つに整理します。
理由① 畳・木部・土壁など「水に弱い素材」が多い
古民家の最大の特徴は、畳、無垢の木材、漆喰や土壁など、水に弱い天然素材で構成されていることです。マンション型民泊であればフローリングやユニットバスを水拭きすれば済みますが、古民家ではそうはいきません。
畳に水をこぼせばシミになり、木部に洗剤を直接かければ変色の原因になります。「何で拭くか」「どの洗剤を使うか」「水分をどれだけ残すか」を素材ごとに判断する必要があるのが、古民家清掃の難しさです。
理由② 小田原特有の「海と山の両方の湿気」
小田原は相模湾に面した海沿いの街でありながら、背後には箱根の山が控えています。海からの潮風と山からの湿気が重なるため、湿度管理が非常に難しいエリアです。
古民家は気密性が低い構造が多く、外気の湿気がそのまま室内に入り込みやすい特徴があります。特に梅雨から夏にかけては、畳の表面にカビが発生しやすく、押入れ内の布団や木製建具にも湿気の影響が出ます。
理由③ リノベーション部分と築古部分が混在する
小田原の古民家民泊物件は、水回りやキッチンは現代的にリノベーションされている一方で、柱・梁・畳・建具などは元のまま残されているケースがほとんどです。この「新旧混在」が清掃の複雑さを増しています。
リノベーション部分には一般的な洗剤と手法が使えますが、築古の木部や建具には使えない。同じ物件の中で清掃方法を切り替えなければならないため、マニュアル化と教育が不可欠です。
小田原市内の築70年の古民家を一棟貸し民泊にリノベーションした物件を引き受けた際のことです。前の清掃会社はマンション型の民泊清掃がメインだったため、古民家の畳をスチームクリーナーで清掃していました。高温の蒸気が畳の表面を傷め、い草が変色してしまい、結局6畳2間分の畳を全面張り替え。オーナー様には数十万円の出費が発生しました。「古民家を扱える業者に最初から頼んでおけば」とおっしゃっていたのが印象的です。
古民家民泊の清掃でオーナーが陥りがちな3つの勘違い
小田原エリアで古民家民泊のオーナー様からご相談をいただく中で、清掃や維持管理について共通した「勘違い」があることに気づきました。
勘違い① 「古い建物だから多少の汚れは味になる」
古民家の「味わい」と「汚れ」は別物です。柱の飴色の経年変化や、使い込まれた木の風合いは魅力ですが、ホコリの蓄積、カビの黒ずみ、シミは単なる不衛生です。特に海外からのゲストは清潔さに対する感覚が非常にシビアで、「風情がある」と「汚い」の区別は明確につけています。
勘違い② 「リノベーションしたから水回りは問題ない」
水回りがどんなに新しくても、古民家全体の湿度環境は変わりません。新品のユニットバスやキッチンを入れても、建物全体の気密性が低いままでは、水回り周辺の壁や天井にカビが発生します。リノベーション部分だけでなく、建物全体の湿度管理が必要です。
勘違い③ 「ゲストに靴を脱いでもらえば畳は傷まない」
確かに土足禁止は畳や無垢床を守る基本ですが、それだけでは不十分です。スーツケースのキャスターで畳を引きずる、濡れた足で無垢床を歩く、家具を引きずって動かすなど、文化の違いから生じるダメージは想像以上に多いのです。ゲストへの事前案内と、清掃時のダメージチェックを組み合わせることが重要です。
「ハウスルールで土足禁止と書いているのに、畳に靴跡がついていた」というご相談は珍しくありません。特にインバウンドのゲストにとっては、「スリッパに履き替える」「畳の上を歩く」という習慣自体が馴染みがない場合があります。私たちは清掃時に畳や床の状態を写真で記録し、ダメージがあった場合は速やかにオーナー様に報告する体制をとっています。早期発見・早期対処が、大きな修繕を防ぐカギです。
プロが実践する小田原の古民家民泊 清掃5つの鉄則
ここからは、小田原エリアの古民家民泊清掃の現場で私たちが実際に行っている対策を、優先度の高い順にご紹介します。
鉄則① 畳は「乾拭き」と「目に沿った作業」が絶対ルール
古民家民泊の清掃で最も神経を使うのが畳のケアです。畳は水分に極めて弱く、誤った方法で清掃すると変色やカビの原因になります。
基本原則は、畳の目に沿って乾拭きすること。目に逆らって拭くと繊維を傷め、ほつれや毛羽立ちの原因になります。汚れがひどい場合は、固く絞った雑巾(水分をほぼ感じない程度)で目に沿って軽く拭き、すぐに乾いた布で水分を拭き取ります。
カビが発生してしまった場合は、消毒用アルコールをスプレーして乾いた布で拭き取ります。カビ取り剤や漂白剤は畳を変色させるため使用厳禁です。清掃後は必ず換気または除湿を行い、畳に残った水分を完全に飛ばすことが重要です。
鉄則② 木部は「素材を見極めてから」ケアする
古民家には無垢材の柱、漆塗りの建具、白木の造作など、さまざまな木部があります。それぞれ適した手入れ方法が異なるため、「木部だから全部同じ方法で」というのは危険です。
無垢材の柱や梁は、基本的に乾いた布での拭き取りが最適です。皮脂汚れなどがこびりついている場合は、薄めた中性洗剤を布に含ませて軽く拭き、すぐに乾拭きします。漆塗りの建具は水拭き厳禁で、柔らかい乾いた布で丁寧にホコリを払います。
白木(ヒノキや杉の無塗装木材)は、水分を含むとシミになりやすい最もデリケートな素材です。汚れた場合は専用の白木クリーナーを使い、市販の洗剤は使用しません。私たちは物件ごとに木部の素材をカルテ化し、部位ごとのケア方法をマニュアルに明記しています。
鉄則③ 「海と山の二重湿気」に対応した除湿設計
小田原の古民家は、海からの湿気と箱根山系からの湿気の両方にさらされます。気密性が低い古民家では、外気の湿気がダイレクトに室内に入り込むため、通常のマンション以上に湿度管理が重要です。
私たちが推奨している対策は3つの柱で構成されています。
1つ目は、空室期間中の除湿機の常時稼働です。特に畳のある和室には必ず除湿機を設置し、湿度60%以下を維持します。連続排水ホースを取り付けて排水を自動化すれば、長期間の不在でも安心です。
2つ目は、清掃時の換気判断です。箱根の記事でも触れましたが、小田原でも海からの湿った風が吹いている日は窓を開けず、エアコンの除湿機能で対応します。晴天で風が穏やかな日だけ、短時間の窓開け換気を行います。
3つ目は、押入れの開放です。空室期間中は布団を入れた押入れの扉を半開きにし、空気が循環するようにします。すのこを敷いて布団と床面の間に隙間を作ることも効果的です。
鉄則④ インバウンドゲストの使い方を想定した「予防清掃」
小田原は箱根への玄関口として、インバウンド観光客の宿泊需要が急増しています。古民家民泊は「日本文化体験」としてインバウンドに特に人気がありますが、日本の住文化に馴染みのないゲストによるダメージも無視できません。
私たちが小田原の民泊清掃サービスで実践しているのは、清掃と同時に行う「予防的チェック」です。具体的には、畳の表面に傷や凹みがないか、障子に破れがないか、建具の建て付けが悪くなっていないか、木部にシミや汚れがついていないかを毎回確認し、写真で記録します。
小さなダメージの段階で発見・対処すれば、畳の部分補修や障子の張り替え程度で済みます。放置して悪化すると、畳の全面張り替えや建具の作り直しなど大規模修繕が必要になり、コストは何倍にもなります。
小田原のかまぼこ通り近くで築80年の古民家民泊を運営するオーナー様のケースです。インバウンドゲストの比率が7割を超える人気物件ですが、以前はゲスト退去後に畳の傷や障子の破損が頻繁に発生し、修繕費が月に数万円に上ることもありました。私たちが清掃を引き受けてからは、毎回の清掃時にダメージチェックと写真記録を実施。さらにオーナー様と協力して、チェックイン時に靴の脱ぎ方やスーツケースの置き場所をイラスト入りで案内するガイドを作成しました。結果、修繕が必要になるケースは月1回以下に激減し、「もっと早くやっておけばよかった」とのお言葉をいただいています。
鉄則⑤ エアコンと換気設備の定期ケアで室内環境を維持する
古民家はもともと自然換気を前提に設計された建物です。しかし民泊として運営する場合は、ゲストの快適性のためにエアコンを設置することがほとんどです。
ここで問題になるのが、古民家特有の気密性の低さとエアコンの相性です。隙間風が多い建物でエアコンを稼働させると、外気の湿気や粉塵が引き込まれ、エアコン内部にカビやホコリが蓄積しやすくなります。特に梅雨時期は、数週間でエアコン内部にカビが発生することも珍しくありません。
小田原のエアコンクリーニングを定期的に実施し、内部のカビやホコリを除去することで、「エアコンをつけた瞬間にカビ臭がする」というゲストの不快体験を防ぐことができます。古民家物件では、通常のマンション型物件よりも短い間隔(シーズンごと・年3〜4回)での民泊向けエアコンクリーニングを推奨しています。
古民家の雰囲気を壊さない|リネン・寝具の正しい管理
古民家民泊の世界観を大切にしているオーナー様は、リネンや寝具にもこだわりを持っています。しかし、湿度の高い小田原の古民家では、その大切なリネンが劣化しやすい環境にあるのも事実です。
和室の押入れに布団を保管するリスク
古民家の押入れは、構造上通気性が悪い場所です。海と山の湿気にさらされる小田原では、押入れ内の湿度が室内よりも高くなりがちで、布団やシーツにカビが発生するリスクがあります。
この問題を根本的に解決する方法として、民泊向けリネンレンタルの活用をお勧めしています。ゲストのチェックインに合わせて清潔なリネンを届け、チェックアウト後に回収する仕組みであれば、押入れにリネンを長期保管する必要がなくなります。
古民家の雰囲気に合うリネンを常に清潔に
箱根・小田原のリネンレンタルであれば、業務用ランドリーで衛生的に洗浄されたリネンが常に届くため、古民家の上質な雰囲気にふさわしい清潔さを維持できます。自前のリネンを高湿度環境で管理する手間とコストを考えれば、レンタルに切り替えるメリットは大きいでしょう。
古民家の価値を守る清掃がレビューと収益を左右する
古民家民泊は、通常のマンション型民泊よりも高い宿泊単価が設定できる分、ゲストの期待値も高くなります。その期待に応える清掃品質を維持できるかどうかが、レビューと収益を大きく左右します。
「雰囲気はいいけど清掃が…」という致命的なレビュー
古民家民泊で最もダメージの大きいレビューは、「建物の雰囲気は素晴らしいのに、清掃が行き届いていない」というパターンです。畳のシミ、木部のホコリ、カビの臭い。せっかくの古民家の魅力が、清掃の不備ひとつで台無しになってしまいます。逆に、古い建物でも隅々まで清潔に保たれていれば、「趣があって清潔、最高の宿泊体験」という高評価につながります。
高単価物件だからこそ清掃への投資が回収できる
古民家民泊の宿泊単価は、一般的なマンション型民泊の1.5〜3倍程度に設定されているケースが多いです。それだけの対価を支払うゲストが求める品質は、当然高くなります。逆に言えば、清掃品質を維持するための投資は、高い宿泊単価によって十分に回収できるのです。
小田原だけではない|神奈川の歴史あるエリアが抱える民泊清掃の課題
古民家や築古物件の清掃課題は、小田原だけのものではありません。インビックスでは、それぞれ異なる環境課題を持つ近隣エリアの民泊清掃を数多く手がけています。
たとえば箱根の民泊清掃では、山間部の高湿度とカビが最大の課題であり、木造・築古物件が多い箱根エリアでは小田原以上に湿気対策が重要になります。また、鎌倉・藤沢の民泊清掃では、歴史的景観地区ならではの規制と古い住宅の管理が課題で、小田原と同様に「歴史的な建物を民泊として維持する」ためのノウハウが求められます。
どのエリアにも共通しているのは、「地域の建物特性と気候を熟知した清掃会社でなければ、古い物件の価値を守りながら民泊を維持することは難しい」ということです。
まとめ
小田原の古民家民泊の清掃は、「キレイにする」だけでなく「建物の価値を守りながらキレイにする」という視点が不可欠です。
- 畳は乾拭き・目に沿って ― 水分厳禁。カビにはアルコール。スチームクリーナーは使用禁止
- 木部は素材ごとにケア方法を変える ― 無垢材・漆・白木それぞれに適した手入れ方法がある
- 海と山の二重湿気に対応 ― 除湿機の常時稼働、換気の天候判断、押入れの開放で湿度を管理
- インバウンド対応の予防清掃 ― 毎回のダメージチェックと写真記録で小さな傷を早期発見・早期対処
- エアコンの定期ケア ― 気密性が低い古民家はエアコン内部にカビが溜まりやすい。シーズンごとのクリーニングを推奨
- リネンの保管リスクを排除 ― 高湿度の押入れにリネンを保管せず、リネンレンタルで品質を一定に保つ
小田原の古民家民泊は、清掃・リネン管理・設備メンテナンスをトータルで対応できる地域密着型の清掃会社だからこそ、建物の魅力を損なわずに運営できます。「古民家の清掃を任せられる業者が見つからない」というオーナー様は、ぜひ一度ご相談ください。
年間6,500件以上の清掃実績を持つインビックスが、小田原エリアの古民家民泊の清掃から日常管理、リネンレンタル、エアコンクリーニングまで、ワンストップで対応いたします。まずはお気軽にお問い合わせください。

