民泊を始める前に知っておくべき用途地域・民泊規制|箱根・熱海・小田原の2026年情報

民泊を始める前に知っておくべき用途地域・民泊規制|箱根・熱海・小田原の2025年情報

民泊を始めるとき、多くのオーナーが見落としがちなのが用途地域自治体条例による制限です。民泊新法(住宅宿泊事業法)の届出さえ出せば営業できると思っていると、物件の立地によっては平日の営業が一切できなかったり、繁忙期に営業禁止になるケースがあります。

この記事では、箱根・熱海・小田原・伊東エリアで民泊を開業する方向けに、用途地域の基礎知識・民泊が営業できる地域の条件・神奈川県と静岡県の条例による制限内容(2026年版)をエリア別に整理します。開業前の事前確認チェックリストもあわせてご活用ください。

※本記事の情報は2026年2月時点のものです。条例は改正される場合がありますので、最新情報は各自治体窓口でご確認ください。

用途地域とは何か

用途地域とは、都市計画法によって定められた「エリアごとのまちづくりのルール」です。住宅・商業・工業など、それぞれのエリアで建てられる建物の種類と用途を制限することで、無秩序な開発を防ぎ、住環境や商業環境を守ることを目的としています。

用途地域は全国共通のルールとして13種類に分類されており、住居系・商業系・工業系の大きく3つのグループに分かれます。

民泊新法(住宅宿泊事業法)と用途地域の関係

民泊新法による「住宅宿泊事業」は、届出住宅の建物が「住宅」扱いになります。住宅を建築できる用途地域は工業専用地域を除く12種類です。つまり、工業専用地域以外であれば原則として届出が可能です。

ただし、自治体条例によって営業日数・曜日・期間の制限が上乗せされているケースが多く、用途地域の確認だけでなく条例の確認も必須です。

旅館業法(簡易宿所)と用途地域の関係

旅館業法に基づく「簡易宿所」として運営する場合は、建物の用途が「ホテル・旅館」扱いになるため、営業できる用途地域が民泊新法より狭く限られます。旅館業が認められる用途地域は、第一種住居地域(3,000㎡以下)・第二種住居地域・準住居地域・近隣商業地域・商業地域・準工業地域の6種類が原則です。一方で旅館業法の許可を取得すれば年間180日の制限なく営業できます。箱根のように特別用途地区の指定によって住居専用地域でも旅館業が可能になる特例もあります。

用途地域の調べ方

物件が該当する用途地域を調べるには、主に3つの方法があります。

最も確実なのは、物件所在地の自治体窓口への問い合わせです。都市計画課・建築指導課などが担当窓口になります。

次に、各自治体が公開している都市計画情報のウェブ地図でも確認できます。神奈川県・静岡県ともに都市計画情報のオンライン検索が可能です。

また、法務局で取得できる不動産登記情報と都市計画図を照合する方法もありますが、専門知識が必要なため行政書士などの専門家に依頼するのが確実です。

箱根エリアの民泊規制(2026年版)

箱根町は神奈川県の管轄であり、民泊の届出先は神奈川県小田原保健福祉事務所(環境衛生課)です。

神奈川県条例による制限:第一種観光地区の繁忙期営業禁止

神奈川県は「住宅宿泊事業法第18条の規定による住宅宿泊事業の制限に関する条例」を制定しており、箱根町内の一部区域に営業制限が設けられています。

制限対象は、第一種低層住居専用地域のうち「第一種観光地区」と定められた区域です。この区域では以下の期間中の民泊営業が禁止されます。

  • 3月1日正午〜6月1日正午
  • 8月1日正午〜9月1日正午
  • 10月1日正午〜12月1日正午

これは春の観光シーズン・夏の繁忙期・紅葉シーズンのいわゆる「繁忙期3期」に相当します。箱根でよく知られる仙石原・元箱根などの別荘地の一部がこの第一種観光地区に該当します。

第二種観光地区では住居専用地域でも旅館業が可能

箱根町では「第二種観光地区」を特別用途地区として指定しており、この区域内では本来旅館業が不可の住居専用地域であっても、許可を得て旅館・ホテルの建築・営業が認められます。年間制限なく営業したい場合は旅館業(簡易宿所)の取得を検討するに値するエリアです。

INBICSの現場から

箱根の民泊清掃を多数担当するインビックスでは、第一種観光地区の営業禁止期間中もメンテナンス清掃や設備点検の対応が可能です。営業再開前のディープクリーニングも承っています。

熱海エリアの民泊規制(2026年版)

熱海市は静岡県の管轄であり、民泊の届出先は静岡県熱海健康福祉センター(熱海保健所)です。

静岡県条例による4つの制限

①学校等の敷地周辺100m以内

学校・幼稚園・保育施設などの敷地から100メートル以内の区域では、月曜日から金曜日(休日・学校の休業日を除く)の営業が禁止されます。

②住居専用地域

都市計画法上の住居専用地域では、月曜日から金曜日の営業が禁止されます(休日を除く)。

③知事指定区域

ホテル・旅館の建築を制限している用途地域等のうち、知事が指定した区域では平日営業が禁止されます。

④騒音等による生活環境悪化懸念区域

特に保全が必要と判断された区域・期間では営業が制限されます。

熱海市特有の「レクリエーション地区」に注意

熱海市では用途地域に「娯楽・レクリエーション地区」という特別用途地区が設定されており、本来は旅館業が不可能な用途地域でも開業が認められるケースがあります。開業を検討する際には通常の用途地域の確認に加えて、この特別用途地区の適用有無を熱海市に確認することを推奨します。

小田原エリアの民泊規制(2026年版)

小田原市は神奈川県の管轄であり、民泊の届出先は神奈川県小田原保健福祉事務所(環境衛生課)です。

小田原市については、2026年2月時点で神奈川県条例による特定区域の制限は箱根町の第一種観光地区に限定されており、小田原市内に独自の営業日数制限・区域制限を設ける条例は確認されていません。工業専用地域以外で民泊新法の要件を満たし、建築基準法・消防法等の手続きを適切に行えば、原則として年間180日の範囲で営業が可能です。

伊東エリアの民泊規制(2026年版)

伊東市は静岡県の管轄であり、熱海市と同じく民泊の届出先は静岡県熱海健康福祉センター(熱海保健所)です。静岡県条例の4つの制限が伊東市にも適用されます。

伊東市も観光・温泉地として旅館業が盛んなエリアであり、用途地域・特別用途地区の確認が重要です。住居専用地域に該当する場合、実質的な営業日は週末・祝日のみに限られるため、収益シミュレーションに大きく影響します。

エリア別・制限一覧(2026年2月時点)

箱根町

届出窓口:神奈川県小田原保健福祉事務所
主な制限:第一種観光地区の繁忙期3期間(春・夏・秋)は営業禁止
注意事項:制限区域の確認は箱根町都市整備課へ。温泉提供には別途許可が必要

熱海市

届出窓口:静岡県熱海健康福祉センター(熱海保健所)
主な制限:住居専用地域・学校周辺100m以内・知事指定区域は平日営業禁止
注意事項:レクリエーション地区の特例あり。特別用途地区も確認

小田原市

届出窓口:神奈川県小田原保健福祉事務所
主な制限:2026年2月時点で特定区域の制限なし(工業専用地域は不可)
注意事項:条例改正の可能性あり。最新情報は窓口で確認

伊東市

届出窓口:静岡県熱海健康福祉センター(熱海保健所)
主な制限:住居専用地域・学校周辺100m以内・知事指定区域は平日営業禁止(静岡県条例適用)
注意事項:住居専用地域では実質週末のみ営業となるため収益計画に影響

開業前の事前確認チェックリスト

箱根・熱海・小田原・伊東エリアで民泊を開業する前に、以下の項目を必ず確認してください。

  • 物件の用途地域を確認した(工業専用地域でないか)
  • 箱根の場合:物件住所が第一種観光地区の制限区域に該当しないか確認した
  • 熱海・伊東の場合:住居専用地域・学校周辺100m以内に該当しないか確認した
  • 熱海の場合:特別用途地区(レクリエーション地区)の適用有無を確認した
  • マンション・分譲住宅の場合:管理規約で民泊が禁止されていないことを確認した
  • 賃貸物件の場合:大家から書面での承諾を得た
  • 消防設備(自動火災報知設備・誘導灯等)が基準を満たすか確認した
  • 温泉を提供する場合:温泉法に基づく利用許可申請が必要か確認した
  • 届出に必要な書類(届出書・図面・消防法令適合通知書等)を揃えた
  • 民泊新法の届出か旅館業(簡易宿所)の許可か、どちらで進めるか決めた

2026年の民泊規制の動向

2026年は、訪日観光客の高水準が続く一方で、無届け(違法)民泊の排除に向けた取り組みが強まっています。箱根・熱海・伊東といった観光地エリアは、都市部と比べて住民トラブルによる規制強化のリスクが低く、インバウンド需要も堅調です。正規の届出と適切な運営体制を整えることが、中長期的な安定運営の基盤になります。

まとめ

民泊新法(住宅宿泊事業法)では工業専用地域を除く12種類の用途地域で届出が可能ですが、神奈川県・静岡県の条例による上乗せ制限があるため、物件の用途地域と所在地の条例を必ずセットで確認する必要があります。箱根町では第一種観光地区の繁忙期3期間に民泊営業が禁止され、熱海市・伊東市では静岡県条例により住居専用地域と学校周辺100メートル以内の平日営業が禁止されています。小田原市については2026年2月時点では特定区域の制限は確認されていませんが、開業前には必ず最新情報を各自治体窓口で確認してください。

よくある質問

用途地域とは何ですか?民泊にどう関係しますか?

用途地域とは、都市計画法によって定められたエリアごとのまちづくりのルールです。民泊新法では工業専用地域を除く12種類の用途地域で届出が可能ですが、自治体条例による上乗せ制限があるため、用途地域と条例の両方を確認する必要があります。

箱根で民泊を開業する場合の規制はどうなっていますか?

箱根町では、第一種低層住居専用地域のうち「第一種観光地区」に指定された区域で、春・夏・秋の繁忙期3期間に民泊営業が禁止されています。仙石原や元箱根などの別荘地の一部がこの制限区域に該当するため、物件の住所が該当するかどうか箱根町都市整備課に必ず確認してください。

熱海・伊東エリアの民泊規制の特徴は何ですか?

静岡県条例により、住居専用地域と学校等の敷地周辺100m以内の区域では、月曜日から金曜日(休日を除く)の営業が禁止されています。住居専用地域に該当する物件では実質的に週末・祝日のみの営業となるため、収益シミュレーションに大きく影響します。

物件の用途地域を調べるにはどうすればいいですか?

最も確実なのは物件所在地の自治体窓口(都市計画課・建築指導課など)への問い合わせです。神奈川県・静岡県ともに都市計画情報のウェブ地図でもオンライン確認が可能です。専門的な判断が必要な場合は行政書士などの専門家に依頼するのが確実です。

小田原市に民泊の営業制限はありますか?

2026年2月時点で、小田原市内に独自の営業日数制限や区域制限を設ける条例は確認されていません。工業専用地域以外で民泊新法の要件を満たせば、原則として年間180日の範囲で営業が可能です。ただし条例改正の可能性もあるため、最新情報は窓口で確認してください。

参考文献

  1. 【神奈川県で民泊開業】自治体の条例を行政書士が解説いたします。(吉田晃汰|行政書士)
  2. 【最新】箱根町の民泊ルールを徹底解説! 上乗せ条例・申請手続き基本ガイド(kiriu-office)
  3. 民泊をする際は「用途地域」に注意!開業できるエリアや調べ方を解説(Enjoy Property!)

この記事は、箱根・熱海・小田原エリアで年間5,000件以上の民泊清掃を実施する経験に基づいて作成されています。個別物件により最適解は異なる場合があります。法的な判断が必要な場合は行政書士等の専門家へご相談ください。

この記事の監修者

株式会社インビックス 黒須大

黒須 大株式会社インビックス 代表取締役

高級旅館および複数の宿泊施設での現場経験を基盤に、宿泊運営の構造を実務レベルで理解。

その後、ハウスクリーニング事業を立ち上げ、サービス設計・品質管理・オペレーション構築を主導してきました。

現在は宿泊施設専門の民泊関連サービスに注力し、単なる清掃支援にとどまらず、事業設計・運営改善・体制構築までを包括的にサポート。現場と経営の両視点から、持続可能な宿泊事業の成長を支援しています。

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