「清掃スタッフが見つからない」「繁忙期に人が足りなくて予約を断るしかない」「せっかく採用したのに1ヶ月で辞めてしまった」——熱海の民泊清掃や熱海のエアコンクリーニングの現場でも、民泊清掃における人手不足は運営の売上と評価に直結する最も深刻な経営課題のひとつです。観光庁の発表によると、2024年の住宅宿泊事業届出件数は全国で約2万5,000件を超え、前年比で約30%増加しています。民泊市場が急拡大する一方で、清掃人材の供給はまったく追いついていません。
特に箱根・熱海・伊東などのリゾートエリアでは、都市部のように求人を出せばすぐに応募が集まるという環境ではありません。人口減少・高齢化が進む地方リゾートでは、清掃人材の確保は構造的に難しく、「待ち」の姿勢では解決できない問題です。
この記事では、箱根・熱海・小田原の民泊清掃エリアで年間6,000件以上の民泊清掃を運営するインビックスが、人手不足を解決する「採用の工夫」「外注」「仕組み化」の3つのアプローチを、具体的な数字・事例・チェックリスト付きで徹底解説します。
人手不足が民泊経営に与える深刻な影響
清掃スタッフが確保できないことは、単に「作業が大変になる」という問題では済みません。経営全体に波及する複合的なダメージをもたらします。
売上機会の損失
清掃が間に合わないために予約を受けられない、またはチェックイン時刻を遅らせざるを得ないケース。繁忙期の1件あたりの宿泊単価が2〜3万円とすると、月に5件断るだけで10〜15万円の売上損失になります。
レビュー評価の低下
人手不足で清掃が雑になると、「髪の毛が落ちていた」「水回りが汚い」といった低評価レビューが付きます。Airbnbでは評価4.0を下回るとSuperhost資格を失い、検索順位も下がり、さらに予約が減る悪循環に陥ります。
オーナー自身の疲弊
スタッフが見つからないためにオーナー自らが清掃を行い、本来注力すべき集客・価格設定・ゲスト対応がおろそかになるケース。物件が2〜3件以上あると、オーナーの体力的・時間的な限界に達します。
事業拡大の停滞
新規物件を開業したくても清掃体制が整わないために断念するケース。人材確保が事業成長のボトルネックになります。
民泊清掃の人手不足が深刻な5つの構造的理由
民泊清掃の人材確保が難しいのには、リゾート地特有の構造的な問題があります。この構造を理解しなければ、有効な対策は打てません。
理由①:リゾート地は労働人口が少ない
箱根町の人口は約1万1,000人、熱海市は約3万4,000人、伊東市は約6万3,000人です。そのうち生産年齢人口(15〜64歳)は6割程度であり、さらに宿泊業・飲食業・小売業など他の業種との競合を考えると、清掃業務に従事できる潜在的な労働力は非常に限られています。都市部であれば半径5km圏内に数万〜数十万人の労働人口がいますが、リゾート地では数千人規模にとどまります。
加えて、これらの地域は高齢化率が40%前後と全国平均(約29%)を大きく上回っており、今後さらに労働力の確保が困難になることが予測されます。
理由②:勤務時間帯の特殊性
民泊清掃の最大の制約は「チェックアウトからチェックインまでの限られた時間帯に作業を完了しなければならない」という点です。一般的にチェックアウトは10:00〜11:00、チェックインは15:00〜16:00であり、清掃に使える時間は4〜5時間程度です。
しかし実際には、前のゲストのチェックアウトが遅れたり、物件への移動時間を考慮すると、正味の作業時間は3〜4時間に限られます。この「昼間の数時間だけ」という勤務条件は、フルタイムを希望する人には短すぎ、かといって朝型・夕方型のパートを希望する主婦層にも合いにくい、中途半端な時間帯です。
理由③:繁忙期と閑散期の需要差が激しい
民泊の稼働率は季節によって大きく変動します。箱根・熱海エリアの月別稼働率の目安は以下の通りです。
繁忙期(稼働率70〜90%):GW(4月下旬〜5月上旬)、夏休み(7〜8月)、紅葉シーズン(11月)、年末年始(12月下旬〜1月上旬)。閑散期(稼働率20〜40%):1月中旬〜3月、6月(梅雨)、9月下旬〜10月上旬。
繁忙期に合わせてスタッフを確保すると閑散期に仕事が足りず離職され、閑散期に合わせると繁忙期に人が足りません。この「繁閑差」は民泊清掃スタッフの雇用を不安定にし、定着率の低さにつながっています。
理由④:業務範囲の広さと求められるスキル
民泊清掃は「ホテル清掃」とは異なり、清掃だけでなく多岐にわたる業務をこなす必要があります。具体的には、客室清掃、民泊リネンレンタル(リネン交換・ベッドメイキング)、備品の在庫確認と補充、アメニティのセッティング、ゴミの分別と搬出、写真による清掃報告、設備の異常チェック(水漏れ・故障など)、ゲストの忘れ物対応——これらを限られた時間内に正確にこなす必要があります。
単純な清掃スキルだけでなく、段取り力・判断力・報告能力が求められるため、「誰でもすぐにできる仕事」ではなく、採用のハードルが上がります。
理由⑤:賃金水準と他業種との競合
神奈川県・静岡県の最低賃金はそれぞれ1,162円・1,034円(2024年10月改定時点)です。民泊清掃の時給相場は1,200〜1,500円程度ですが、リゾート地ではホテル・旅館の清掃スタッフ、飲食店のホールスタッフ、コンビニスタッフなどと人材の奪い合いになります。
ホテル・旅館の清掃は勤務時間が安定しており、福利厚生が充実していることが多いため、同じ清掃業務であれば民泊よりもホテル・旅館を選ぶ人が多いのが実情です。民泊清掃ならではの魅力を打ち出さなければ、人材獲得競争で不利になります。
解決策①:採用の工夫——応募を増やし、定着させる戦略
構造的に不利な状況でも、採用の「やり方」を変えることで応募数と定着率を改善できます。以下に具体的な施策を解説します。
求人媒体別の特徴と効果
大手求人サイトだけに頼るのではなく、複数の媒体を組み合わせることが重要です。それぞれの媒体の特徴を理解して使い分けましょう。
- Indeed(インディード)
- 無料掲載が可能で、検索型のため「箱根 清掃 パート」などのキーワードで求職者に直接リーチできます。有料オプションで表示順位を上げることも可能。応募のハードルが低く、幅広い層にアプローチできます。
- タウンワーク(紙版・Web版)
- 地方ではまだ紙版の影響力が大きく、特にシニア層・主婦層への訴求力があります。コンビニや駅に設置されるため、地元住民の目に触れやすいメリットがあります。
- シルバー人材センター
- 60歳以上の登録者が中心で、清掃業務との相性が良いです。箱根町・熱海市・伊東市いずれにも地域のシルバー人材センターがあり、登録→紹介の流れで比較的短期間で人材が見つかることがあります。時給ではなく「配分金」という形での支払いになるため、コストが抑えられる場合もあります。
- 地域SNS・コミュニティ
- Facebook の地域グループ、地元の掲示板サイト、自治体の広報誌などを活用する方法です。口コミでの紹介につながりやすく、地元に根ざした人材が見つかる可能性があります。
- 紹介制度(リファラル採用)
- 既存スタッフからの紹介で採用する方法です。紹介者と被紹介者の双方に紹介ボーナス(5,000〜10,000円程度)を支給することで、積極的な紹介を促進できます。実際に働いている人からの紹介は定着率が高い傾向にあります。
ターゲット別の採用戦略
「清掃スタッフ募集」という漠然とした求人ではなく、ターゲットを明確にして訴求ポイントを変えることが効果的です。
- 主婦層
- 「子どもが学校に行っている間の3〜4時間」「週2〜3日からOK」「扶養の範囲内で調整可能」を前面に打ち出します。学校行事でのシフト変更に柔軟に対応する旨を記載すると応募が増えます。
- シニア層
- 「60代活躍中」「体力に合わせた業務量を調整」「健康維持にもなる適度な運動」をアピールします。重い荷物を持つ必要がない点、冷暖房完備の室内作業である点を強調します。
- 学生(大学生・専門学校生)
- 「短時間で効率よく稼げる」「時給1,300円以上」「シフト自由」が響くポイントです。長期休暇中の集中勤務も歓迎する旨を記載します。
- ダブルワーク希望者
- 「本業の前後に3時間」「副業として安定収入」を訴求します。勤務時間が昼間の数時間に限定される民泊清掃は、実はダブルワークとの相性が良いです。
- 外国人労働者
- 在留資格の要件を満たすことが前提ですが、リゾート地には日本語学校や観光業で働く外国人が一定数います。多言語対応のマニュアルを用意し、やさしい日本語で指示できる体制を整えることで採用の幅が広がります。
応募が増える求人票の書き方——5つのポイント
求人の内容を改善するだけで応募数が2〜3倍に増えることがあります。以下の5つのポイントを意識してください。
ポイント①:具体的な仕事内容を書く。「民泊の清掃」ではなく、「チェックアウト後の客室の掃除機がけ・水回り清掃・ベッドメイキング・備品チェックが主な業務です。1件あたり約2時間、1日1〜3件を担当していただきます」のように具体的に書きます。
ポイント②:未経験者への安心材料を入れる。「先輩スタッフが3回同行して丁寧に教えます」「写真付きマニュアル完備」「最初の1ヶ月はサポート体制あり」など、未経験でも安心して始められることを伝えます。
ポイント③:勤務条件の柔軟さを強調する。「週2日〜OK」「1日3時間〜」「曜日固定・シフト制どちらも可」「お子さんの学校行事でのお休み相談OK」など、働きやすさを具体的に示します。
ポイント④:職場の雰囲気を伝える。「30〜60代の女性スタッフが活躍中」「少人数でアットホームな職場」「一人で黙々と作業したい方にもぴったり」など、応募者が自分の姿をイメージできる情報を入れます。
ポイント⑤:応募方法を簡単にする。「電話1本で応募OK」「LINEで気軽にお問い合わせ」「まずは見学だけでもOK」のように、応募のハードルを下げます。Web応募フォームは入力項目を最小限にします。
面接・選考のコツ
リゾート地では応募者の母数が少ないため、選考で「落とす」よりも「合う仕事を見つける」姿勢が重要です。面接では以下の点を確認します。
①通勤手段と所要時間(車通勤が可能か、冬季の積雪時にも通えるか)。②希望する勤務日数・時間帯(繁忙期に追加勤務が可能か)。③清掃経験の有無(未経験でも意欲があればOKとする)。④体力面の確認(無理のない業務量を相談して決める)。面接は現場で行い、実際の作業内容を見てもらうと、入社後のミスマッチを防げます。
報酬設計のポイント
基本時給に加えて、以下のようなインセンティブを組み合わせると、応募率と定着率が向上します。
基本時給:地域相場+100〜200円を目安に設定します。箱根・熱海エリアでは1,300〜1,500円が目安です。繁忙期手当:GW・夏休み・年末年始は時給+200〜300円を上乗せすることで、繁忙期のシフト確保が容易になります。皆勤手当:月間の予定シフトをすべて出勤した場合に5,000〜10,000円のボーナスを支給します。品質手当:写真報告やチェックリストの品質スコアが基準以上のスタッフに月額3,000〜5,000円を支給します。交通費:全額支給または上限付き支給(月15,000円まで等)。車通勤の場合はガソリン代を距離に応じて支給します。
定着率を上げる6つの施策
採用した人材が長く働き続けてくれることは、採用コストの削減と品質の安定に直結します。
①定期的な1on1ミーティング:月1回、15〜30分程度の面談で困っていることや改善提案を聞きます。「聞いてもらえる」という安心感が定着につながります。②評価のフィードバック:「いつもきれいに仕上げてくれてありがとう」「前回指摘したポイントが改善されていました」など、具体的な評価を伝えます。③スキルアップの機会:エアコンクリーニングや特殊清掃の研修機会を提供し、できる業務の幅を広げます。④チームとしての一体感:年に数回の食事会や忘年会で横のつながりを作ります。一人で作業することが多い清掃業だからこそ、仲間意識が定着の支えになります。⑤勤務条件の見直し:半年に1回、勤務日数・時間帯の希望を再確認し、ライフスタイルの変化に合わせて調整します。⑥キャリアパスの提示:リーダー→エリアマネージャー→研修担当のように、ステップアップの道筋を示します。
箱根エリアで3物件を運営するオーナーAさんは、当初Indeedのみで求人を出していましたが、3ヶ月間で応募はわずか2件でした。そこで、タウンワーク(紙版)への掲載、シルバー人材センターへの登録、既存スタッフへの紹介ボーナス制度の導入を同時に実施。さらに求人票を「週2日・1日3時間〜OK、60代活躍中」と具体的に書き直したところ、1ヶ月で5件の応募があり、3名の採用に成功しました。特にシルバー人材センター経由の60代女性は、丁寧な作業ぶりでゲストからの評価も高く、1年以上継続して勤務しています。
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解決策②:清掃業者への外注——プロに任せて経営に集中
自前での採用・管理に限界を感じたら、清掃業者への外注を検討しましょう。外注にはメリットとデメリットの両方があり、自社の状況に合った判断が必要です。
外注のメリット
①採用・教育・シフト管理の負担がゼロになる:求人掲載→面接→採用→研修→シフト管理→欠勤時の代替手配——これらすべてを業者が引き受けます。オーナーは予約管理と売上最大化に集中できます。
②繁忙期も安定した人員体制:専門業者は複数の物件・エリアでスタッフをやりくりしているため、繁忙期でも人員を確保できます。個人での雇用では対応しきれない急な予約増にも柔軟に対応可能です。
③品質が安定する:プロの研修を受けたスタッフが作業し、チェックリスト・写真報告・ダブルチェックなどの品質管理体制が整っているため、清掃品質のばらつきが少なくなります。レビュー評価の安定に直結します。
④リスクの軽減:スタッフの急な退職・体調不良による清掃不能リスクを業者が吸収します。物件の備品破損時の対応や保険加入なども業者側で対応しているケースが多いです。
外注のデメリットと対策
①コストが自前雇用より高い場合がある:1回あたりの清掃費用は自前雇用の場合の1.2〜1.5倍程度になることがあります。ただし、採用コスト・教育コスト・管理コスト・離職リスクを含めた「総コスト」で比較すると、外注の方が安くなるケースも少なくありません。
②業者によって品質差がある:すべての清掃業者が民泊清掃に精通しているわけではありません。ホテル清掃や家事代行とは求められるスキルが異なるため、民泊清掃の実績がある業者を選ぶことが重要です。
③コミュニケーションコスト:物件の特殊事情や備品の配置変更など、業者への連絡・調整が必要です。窓口となる担当者が明確で、レスポンスが早い業者を選びましょう。
外注先の種類と特徴
- 民泊清掃専門業者
- 民泊特有の業務(リネン交換・備品チェック・写真報告)に対応しており、最も安心感があります。地域に拠点を持つ業者を選ぶことで緊急対応も可能です。
- 家事代行サービス
- 個人宅の清掃ノウハウは高いが、民泊特有のオペレーション(チェックイン・アウトに合わせたスケジュール管理、リネン管理等)に不慣れな場合があります。
- 便利屋サービス
- 清掃以外の軽作業(備品の搬入、簡易修繕など)にも対応できるメリットがありますが、清掃品質にばらつきが出やすいです。
- マッチングプラットフォーム
- 清掃スタッフと物件オーナーをマッチングするサービスで、手軽に始められますが、スタッフの質の担保が課題になることがあります。
外注先選びの10項目チェックリスト
外注先を選ぶ際は、以下の10項目を確認してください。
①民泊清掃の実績件数(年間1,000件以上が目安)。②対象エリアに拠点があるか(移動時間30分以内が理想)。③繁忙期の対応体制(スタッフの増員が可能か)。④当日の急な依頼への対応可否。⑤清掃後の写真報告の有無。⑥リネンレンタル・交換の対応可否。⑦エアコンクリーニングなど付帯サービスの有無。⑧損害保険への加入状況。⑨料金体系の透明性(追加料金の有無を事前に確認)。⑩契約期間の柔軟性(長期縛りがないか)。
段階的な外注の進め方
いきなり全物件を外注するのではなく、段階的に進めることでリスクを最小限に抑えられます。
- ステップ1:繁忙期だけ外注
- GWや夏休みなど、自前のスタッフだけでは対応しきれない時期だけ外注を依頼します。業者の品質を確認する「お試し期間」としても活用できます。
- ステップ2:一部物件を外注
- 自分から遠い物件、または清掃難易度が高い物件から外注に切り替えます。近場の物件は自前スタッフで継続し、比較することで外注の費用対効果を実感できます。
- ステップ3:全件外注
- 品質・コスト・対応力に問題がなければ、全物件の清掃を外注に移行します。オーナーは清掃業務から完全に解放され、集客・ゲスト対応・新規物件開拓に専念できます。
コスト比較:自前雇用 vs 外注
月間稼働20日・1日2物件を清掃する場合のコスト比較の目安です。
自前雇用の場合:時給1,400円×4時間×20日=112,000円。これに加えて、交通費(月15,000円)、消耗品費(月10,000円)、求人広告費(月按分5,000円)、社会保険料、管理工数の人件費を含めると、月額約160,000〜180,000円が実質コストです。
外注の場合:1件あたり5,000〜8,000円×40件=200,000〜320,000円。ただし、管理工数ゼロ、採用・研修コストゼロ、離職リスクゼロ、品質管理込みです。
数字だけを見ると外注の方が高く見えますが、オーナーの管理工数(月20〜30時間)を時給換算すると、実質的なコスト差は縮まります。物件数が5件以上になると、採用・シフト管理の手間が飛躍的に増えるため、外注の費用対効果が高くなる傾向があります。
熱海で5物件を運営するオーナーBさんは、2名の清掃スタッフを直接雇用していましたが、繁忙期前に1名が退職。急遽もう1名で全物件を回そうとしたものの対応しきれず、3件の予約をキャンセルせざるを得ませんでした(損失額:約8万円)。その後インビックスへの外注に切り替えたところ、繁忙期も含めてキャンセルゼロ、レビュー平均4.8以上を維持。「清掃の心配がなくなったことで、価格設定やゲスト対応に集中でき、売上が前年比20%増になった」とのことです。
解決策③:業務の仕組み化・効率化——少ない人員で最大の成果を出す
人手不足を「人を増やす」だけで解決するのではなく、1人あたりの生産性を上げて、少ない人員でも回る仕組みを作ることも重要なアプローチです。仕組み化は採用・外注と組み合わせることで最大の効果を発揮します。
清掃マニュアルの作り方——5つのステップ
マニュアルは「あれば便利」ではなく、新人を最短で戦力化し、品質のばらつきをなくすための必須ツールです。以下の5ステップで作成します。
ステップ1:ベテランスタッフの作業を録画する。最も品質の高いスタッフの清掃作業をスマートフォンで最初から最後まで録画します。作業の順番、手の動き、使う道具が記録されます。
ステップ2:作業を分解してリスト化する。録画を見ながら、すべての作業を工程ごとに分解します。「浴室清掃」ではなく、「①排水口の髪の毛除去②壁面の水垢除去(クエン酸スプレー→スポンジ)③鏡の水垢除去④蛇口の拭き上げ⑤床面のブラッシング⑥シャンプー類の補充・整列⑦最終確認」のように細かく分解します。
ステップ3:各工程に写真を添付する。「OK例」と「NG例」の両方の写真を撮影し、完了基準を視覚的に明確にします。特に「どこまでやれば合格か」の判断基準が曖昧な箇所(水垢の許容範囲、ベッドシーツのしわの程度など)は写真での比較が効果的です。
ステップ4:新人に試してもらい、分かりにくい箇所を修正する。マニュアルの初版を新人スタッフに渡し、実際に作業してもらいます。「この手順が分かりにくい」「この道具がどれか分からない」といったフィードバックを反映して改善します。
ステップ5:定期的に更新する。季節ごとの注意点(夏のカビ対策、冬の結露対策)、新しい清掃道具の導入、ゲストからのフィードバックを反映して、3〜6ヶ月ごとに見直します。
清掃時間の短縮テクニック——物件タイプ別
清掃時間を短縮することで、同じ人員でもより多くの物件を回せるようになります。
- ワンルーム・1LDK(目標:60〜90分)
- 清掃の順番を「水回り(放置系の洗剤を先に塗布)→リビング・寝室(掃除機・拭き掃除)→水回り仕上げ→最終チェック」の流れにすることで、洗剤の浸透時間を有効活用できます。
- 2LDK〜3LDK(目標:90〜120分)
- 部屋数が多い物件では「動線の最適化」が鍵です。奥の部屋から順に手前に向かって作業し、同じ場所を二度通らない動線を設計します。掃除機は最後にまとめてかけるのではなく、各部屋の仕上げ時にかけることで、ゴミの持ち運びを減らせます。
- 一棟貸し・戸建て(目標:120〜180分)
- 2階建て以上の物件は上階から下階に向かって作業するのが基本です。ゴミは上から下に集め、最後に1階でまとめます。階段の清掃は上から下に向かって行います。清掃道具を各フロアに分散配置しておくことで、道具の持ち運び時間を削減できます。
デジタルツールの活用
アナログ管理からデジタル管理に移行することで、1件あたり10〜15分の時間短縮と、ミスの大幅な削減が期待できます。
スケジュール管理:Googleカレンダーや専用の民泊管理ツール(Beds24、AirHost等)を使い、予約情報→清掃スケジュールを自動連携させます。手動でのスケジュール調整が不要になり、ダブルブッキングや清掃漏れを防止できます。
デジタルチェックリスト:Googleフォームやチェックリスト専用アプリを使い、スマートフォンでチェック→写真撮影→送信を一連の流れで行います。紙のチェックリストの紛失リスクがなくなり、データの集計・分析も容易になります。
写真報告の自動化:チェックリストに写真添付機能を組み込み、清掃完了後にオーナーへ自動通知される仕組みを作ります。LINEの公式アカウントやSlackのWebhook機能を活用すれば、低コストで実現可能です。
在庫管理:消耗品(トイレットペーパー、ゴミ袋、洗剤、アメニティなど)の在庫をスプレッドシートやアプリで管理し、一定数を下回ったら自動で発注する仕組みを作ります。「現場に行ったらゴミ袋がなかった」というトラブルを防げます。
消耗品キットの事前準備
物件ごとに必要な消耗品・備品を「清掃キット」として事前にセットしておくことで、スタッフの準備時間と忘れ物を大幅に削減できます。
キットの内容例:①清掃用洗剤(浴室用・トイレ用・ガラス用・多目的)②スポンジ・ブラシ・マイクロファイバークロス③ゴミ袋(燃えるゴミ・プラ・ペットボトル)④トイレットペーパー・ティッシュの予備⑤アメニティ類(歯ブラシ・カミソリ・綿棒等)⑥民泊リネンレンタルのリネン一式(シーツ・枕カバー・タオル)。これらをコンテナボックスに物件名ラベルを貼ってまとめておくと、スタッフは該当のボックスを持って現場に向かうだけで済みます。
清掃動線の最適化
清掃の「動線」を最適化するだけで、作業時間を10〜20%短縮できます。以下のポイントを意識してください。
①入口から奥に向かい、奥から入口に戻る一筆書きの動線を設計します。同じ場所を二度通ることを極力避けます。②「つけ置き→他の作業→仕上げ」のサンドイッチ方式を活用します。浴室やトイレに洗剤をスプレーしてから他の部屋を清掃し、戻ってきて仕上げるという流れです。③清掃道具の定位置を決める。物件内のどこに何を置くかを統一し、「あの道具どこだっけ」と探す時間をゼロにします。④物件ごとの動線マップを作成し、マニュアルに添付します。初めての物件でも最短動線で作業できるようになります。
インビックスでは、すべての物件で写真付きの清掃マニュアルとデジタルチェックリストを導入しています。マニュアル導入前は新人スタッフの研修に平均10回の同行が必要でしたが、導入後は平均5回で独り立ちできるようになり、研修期間を約50%短縮しました。また、清掃動線の最適化とキット化により、1件あたりの平均清掃時間を約15分短縮できた物件もあります。
3つのアプローチの最適な組み合わせ方
「採用」「外注」「仕組み化」のどれか1つだけで解決するのではなく、物件数と稼働率に応じて3つを組み合わせることで、最も効率的な体制を構築できます。
物件数×稼働率のマトリクスで考える
- 1〜2物件・稼働率50%以下
- オーナー自身+仕組み化で対応可能。清掃マニュアルとチェックリストを整備し、必要に応じて単発のスタッフを雇用します。外注はコスト面でまだ割に合わない段階です。
- 1〜2物件・稼働率50%以上
- 採用+仕組み化。週2〜3日勤務のパートスタッフを1〜2名確保し、マニュアルで品質を標準化します。繁忙期だけスポットで外注を活用するのも効果的です。
- 3〜5物件・稼働率問わず
- 外注+仕組み化。物件数が3件を超えると、採用・シフト管理の負荷が急激に増します。清掃は外注に任せ、仕組み化で業者との連携を効率化する体制が安定します。
- 6物件以上
- 全件外注が最も合理的。オーナーは経営に専念し、清掃業者との品質管理のコミュニケーションのみに注力します。複数の外注先を使い分けてリスク分散するケースもあります。
段階的な移行が成功のカギ
「いきなり全部変える」のではなく、現状を維持しながら段階的に移行することで、品質の低下や混乱を防げます。まずは仕組み化(マニュアル・チェックリスト・デジタルツール)から始め、次に繁忙期だけ外注を試し、効果を確認してから本格的に外注へ移行する——この「仕組み化→部分外注→全体外注」のステップが最もリスクの低い移行パターンです。
「最初は自分で全部やっていたが限界を感じた」「アルバイトを雇ったがすぐ辞められてしまった」「ようやく外注に切り替えて楽になった」——箱根・熱海エリアのオーナー様からは、このような段階を経たというお声を多くいただきます。インビックスでは、民泊リネンレンタルや民泊エアコンクリーニングを含めたワンストップサービスで、清掃にまつわるすべての業務をお引き受けしています。まずはお気軽にご相談ください。
まとめ
民泊清掃の人手不足は、リゾート地の構造的な問題であり、「待っていれば解決する」性質のものではありません。「採用の工夫」「外注」「仕組み化」の3つのアプローチを物件数・稼働率に応じて組み合わせることで、安定した清掃体制を構築できます。
1〜2物件の小規模運営であれば採用と仕組み化で対応可能ですが、3物件以上、または繁忙期の安定稼働を重視する場合は、地域に拠点を持つ清掃専門業者への外注が最も確実な解決策です。特に箱根・熱海・小田原・伊東の民泊清掃エリアでは、地域特有の交通事情・気候条件を理解した業者に任せることで、品質とコストの両面で最適な結果が得られます。
まずはお気軽にご相談ください
民泊清掃・リネンレンタル・エアコンクリーニングなど、宿泊施設運営に関するお悩みは何でもご相談ください。お見積もりは無料です。
よくある質問
リゾート地で清掃スタッフを採用するコツはありますか?
地域密着型の媒体(タウンワーク紙版、シルバー人材センター、地域SNS、紹介制度)を複数組み合わせることが効果的です。求人票には「週2日・1日3時間〜OK」「60代活躍中」など具体的な条件を明記し、応募のハードルを下げましょう。時給は地域相場より100〜200円高く設定すると応募率が大幅に向上します。
清掃を外注するタイミングの目安は?
物件数が3件以上になった時点、または繁忙期に自力で人員を確保できなくなった時点が外注検討の目安です。それ以前でも、スタッフの急な退職で予約をキャンセルせざるを得なかった経験がある場合は、リスク回避の観点から外注をおすすめします。まずは繁忙期だけのスポット外注から試すのが安心です。
外注と自前雇用、コストはどちらが安いですか?
1件あたりの清掃単価だけを比較すると外注の方が高くなりがちですが、採用コスト・研修コスト・シフト管理の工数・離職時の損失を含めた「総コスト」で比較すると、物件数が3件以上の場合は外注の方が安くなるケースが多いです。特にオーナー自身の管理工数(月20〜30時間)を時給換算すると、外注の費用対効果が明確になります。
清掃業務の仕組み化で最も効果が大きいのは?
写真付き清掃マニュアルの整備が最も効果が大きいです。ベテランの作業を録画→工程分解→OK/NG写真付きで文書化することで、新人の研修期間を約50%短縮し、品質のばらつきを大幅に減らせます。次に効果が大きいのはデジタルチェックリストの導入で、1件あたり10〜15分の時短効果があります。
外注先の清掃業者はどのように選べばよいですか?
民泊清掃の年間実績件数、対象エリアへの拠点の有無、繁忙期の対応体制、写真報告の有無、リネンレンタルやエアコンクリーニングなどの付帯サービス、損害保険の加入状況——これらを総合的に確認してください。特に地域に拠点がある業者は緊急対応に強く、当日の急な依頼にも対応しやすいため優先して検討すべきです。
清掃スタッフの定着率を上げるにはどうすればよいですか?
月1回の1on1ミーティング、具体的な評価フィードバック、繁忙期手当・皆勤手当などのインセンティブ、スキルアップ研修の機会提供が効果的です。半年に1回は勤務条件の見直しを行い、ライフスタイルの変化に合わせた柔軟なシフト調整に対応することで、長期的な定着を促進できます。
参考文献
この記事は、箱根・熱海・小田原・伊東エリアで年間6,000件以上の民泊清掃を実施するインビックスの経験に基づいて作成されています。記載されている数値・相場・統計は2025年3月時点の情報であり、地域・時期により異なる場合があります。個別物件の最適解は状況により異なりますので、具体的なご相談はお気軽にお問い合わせください。
この記事の監修者
黒須 大株式会社インビックス 代表取締役
高級旅館および複数の宿泊施設での現場経験を基盤に、宿泊運営の構造を実務レベルで理解。
その後、ハウスクリーニング事業を立ち上げ、サービス設計・品質管理・オペレーション構築を主導してきました。
現在は宿泊施設専門の民泊関連サービスに注力し、単なる清掃支援にとどまらず、事業設計・運営改善・体制構築までを包括的にサポート。現場と経営の両視点から、持続可能な宿泊事業の成長を支援しています。

